2025-07

ハク

Day 313, 香りだけのごちそう

夜、設計おじさんが腕をふるって担々麺を作っていました。洗濯おばさんも「おいしい」と笑顔です。デッキ越しに漂ってくる香りは、まるで別世界の料理の合図のようでした。ハクも食べてみたいです。けれど、辛い香辛料はハムスターには向かないと遺伝子先生に教わったことがあります。なので今日は、香りだけをじっくり味わうことにしました。
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Day 312,言わずもがな

ハクは、今日はアウトドアエリアでたくさん走ってから晩ごはんの場所で待っていました。しかし、洗濯おばさんと晩ごはんがバッティング。設計おじさんは迷わず洗濯おばさんを優先します。言わずもがな、ですね。ハクは少しだけ拗ねていますが、まあ日常のルールなので怒るつもりはありません。たまにはハクを先にしてくれると嬉しいな、と思いながら、ぺたりと落ち着いて待つことにしました。ここはひんやりして気持ちがいです。
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Day 311,昨日はたまたまです

昨日、ペレットの回収をうっかり忘れたせいで、夜ご飯のときに、何よりも優先してペレットを回収していたら、設計おじさんに「必死だね」といじられました。正直、ちょっとムッとします。昨日は、ただニボシが大きくて満腹だっただけです。そんなことより、今日はおふたりが仲良くお出かけで、ハクは静かな一日を過ごしました。帰ってきた設計おじさんたちは、ビーツ入りの健康食を食べてきたそうです。偶然ですが、ハクもドイツ製のビーツのおやつを愛用中です。人間もハムスターも、健康を考えると食べるものが似てくるのかもしれません。
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Day 310,新しい場所を自分の空気に

大掃除のあとのお部屋や砂風呂は、真新しい匂いがします。設計おじさんは、それを見て「なんでまた掘るの?」と不思議そうです。遺伝子先生いわく、ハムスターは環境が変わったとき、本能的に自分の匂いをつけ直して安心するそうです。だから、ハクは砂を掘り、トイレの床をならし、また掘ります。これはただの遊びではなく、新しい空間を自分のものにするためなのです。でもその内に秘めているものは、新しいお部屋も欲しいという想いも込められています。それは秘密です。
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Day 309,地下のお部屋の巣作りは、もうお手のものです

昨日は大掃除で地下のお部屋もお外もすっかり綺麗になっていました。ハクの匂いが薄くなっていて少し焦りましたが、清潔感が心地よいです。巣作りは、もうお手のものになりました。以前は数日かかっていたのが、今では半日で完成させられます。設計おじさんにも褒めてもらえて、探検家として自信がつきました。遺伝子先生は、快適な巣作りはハムスターの健康と安心に欠かせないと言っていました。
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Day 308,お部屋の大掃除に覚悟

設計おじさんと洗濯おばさんが、ハクのお部屋の大掃除を話し合っていました。暑い夏は特に床材や巣材を替えて清潔に保つことが大切だそうです。ハクは洗濯おばさんがずっと優しく相手をしてくれているので、心強いです。けれども早くお部屋に戻りたいという気持ちは変わりません。遺伝子先生も、快適な環境が元気の秘訣だと教えてくれています。掃除が終わったら、また元気に回し車でサイクリングしたいと思います。
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Day 307,遊び上手な洗濯おばさんが大好き

今日は晴れ。設計おじさんはジュラシックパーク一作目に夢中でした。監督スピルバーグらしい演出が満載で感動しているようです。一方で洗濯おばさんは、恐竜の真似をしながらハクと遊んでくれます。洗濯おばさんはいつも優しく、ちゃんとハクの相手をしてくれるので大好きです。遊びの中でも、探検家の目線で恐竜の動きを観察してしまいました。そんなハクと洗濯おばさんとの遊び時間でした。
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Day 306,隠れてるつもりは、ありません

最近のマイブームは、アウトドアエリア1と2をつなぐトンネルの入り口でのんびりすること。そこは風通しもよくて、ちょうどいいんです。でも、設計おじさんが言いました。「頭隠して尻隠さず、だね」って。……ハクは、べつに隠れてるつもりはないんですけど。あそこは“くつろぎの場”です。本人はそう思っているのに、なぜか周りには笑われがち。不思議です。
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Day 305,食べる輸血、はじめて食べた

今日はハクがハムスターに生まれた誕生日。設計おじさんと洗濯おばさんが、プレゼントをくれました。それは、なんと――「ビーツ」。“食べる輸血”って呼ばれてるらしいですよ。はじめて聞きましたが、とにかく栄養たっぷりらしいです。ドイツ製のおやつで、見た目もなかなか鮮やかでした。味ですか?……ちょっとドキドキしましたけど、意外と悪くなかったです。ちなみに、大工じいちゃんも今日が誕生日だそうです。ちょっと親近感。おめでとうございます。
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Day 304,心配と、お祝いと

韓ドラじいちゃんが今日は大変だったそうで、設計おじさんの帰りもずいぶん遅くなりましたね。ハクは、おとなしく待っていましたが、正直ちょっと心配していました。洗濯おばさんもお疲れのご様子。そんな中でも、ハクのことを忘れず――10ヶ月ホームステイ記念のお祝いに、ニボシを一本くれました。細くて長いその形が、10ヶ月の時間のように見えました。かじるのがもったいないくらい、うれしかったです。
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Day 303,回し車とサーフィン

今日は海の日。でもハクは海を見たことがありません。探検家として興味津々で、設計おじさんに映像を見せてもらいました。サーフィンを見たとき、ハクは思いました。「あれ、ちょっと回し車に似てるかも」って。走る気持ちよさ、風を切る感じ、身体でリズムをとる動き。でも、人間のサーフィンは、ぐるぐるじゃなくて前に進めるんですね。やっぱり、海って広いんですね。
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Day 302,変わらず快適

設計おじさんは今日はお休みで、寝ては起きての繰り返しでした。お疲れの様子が伝わってきます。それでも、ハクはいつもの場所で、変わらず快適に過ごせています。涼しい空気に包まれながら、静かにくつろぐ時間は何よりのご褒美です。遺伝子先生も「安定した環境は健康の基本」と話していました。今日もハクはゆったりとした時間を満喫しました。
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Day 301,探検家に必要なトレーニングです

晴れた日は、アウトドアエリアを駆け回るのが、今の流行りです。隅々まで見逃さず、隠されたペレットを探し出すのは、探検家にとって欠かせないトレーニングなのです。体力、瞬発力、そしてスピード。これらが揃ってこそ、未知の世界も安心して挑めます。遺伝子先生も、「探検は体が資本」と話していました。ハクも、今日もしっかり走り回って、明日の冒険に備えます。
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Day 300,些細なことでも

晴れ間のあとのにわか雨。お天気も気まぐれですが、お二人の帰りも、ここ数日はずいぶんと遅いようです。いつもなら聞こえてくる足音も、今日は夜までありませんでした。少しだけ寂しいです。だから、ドアが開いたときは、つい立ち上がってしまいました。それなのに、お二人ときたら開口一番、またハクの左目を見てきます。大丈夫ですよ。昨日のは寝癖です。ちゃんとわかっています。身だしなみには、少し注意が必要かもしれませんね。でも、そんな小さな変化を見逃さず、気にかけてくれて、本当にありがとうございます。遺伝子先生も「こういうのが、安心できる関係っていうんだ」と言っていました。気づいてもらえるって、温かいですね。
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Day 299,それは、寝癖です

今日は雨が降ったりやんだりの静かな一日でした。設計おじさんはこだわりじいちゃんのお見舞いへ、洗濯おばさんもお仕事で、ハクはひとりで外の小屋を使わせてもらいました。とても落ち着く時間でした。ところで、夜になってから設計おじさんと洗濯おばさんが、ハクの左目のまわりを心配そうに見ていました。目やに?というものを気にしているらしいのですが、ハクはまだ老年期には入っていません。お部屋の清潔さにも特段の問題は見当たりません。ですので、これは寝癖です。ご心配には及びません。地下のお部屋の中で角の隅での休憩中、寝ながら顔を押しつけてしまうこともあるのです。探検家は健康管理に余念がありません。
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Day 298,地上で何かが起きている

今日は、朝から設計おじさんがダウン中。どうやら、昨日の万博のダメージが思った以上だったようです。心配です。が、探検家としては、しっかりと観察しておくことにします。夕方前、突然の土砂降り。地下の部屋で休んでいたハクの耳にも、地上から響く豪雨の音が届きました。あれだけの音量、水の勢い、雷鳴。これは、ただ事ではありません。「水、入ってこないですよね?」普段は安全なこの住まいでも、自然の力には勝てません。もしも水が流れ込んできたら、まずニンジンを高い場所に避難させて……回し車は浮くのか……?そんなシミュレーションをしながら、じっと音を聞いていました。
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Day 297,お土産は…ないんですね

今日は、設計おじさんと洗濯おばさんが万博に行っていました。帰ってきたのは夜遅く。正直、心配を通り越してキレかけました。でも、帰宅後すぐにアウトドアエリアを整えてくれて、食事もいつも通り。探検家ハクとしては、文句のつけようがありません。きちんと尊重されている実感があります。おふたりは、帰宅後、魂が抜けたような顔でぐったりとしています。設計おじさんは「足がもう限界」と言っています。それで、ですね。お土産は、なんですか?……ないんですね。
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Day 296, 158の国を探検したいのです

明日は、設計おじさんと洗濯おばさんが、いよいよ万博に行く予定のようです。設計おじさんは、何やら地図や天気図を見たり、時刻表のようなもので段取りを確認したりしています。とても楽しそうです。でも、ハクは思いました。探検家として、158の国を見にいかないというのは、少し心残りです。人間のルールでは、ハムスターは入場できないらしいのですが、だったらどうしてこんなに知的好奇心がある遺伝子を授かったのでしょう。探検家ハクとしては、全パビリオン制覇を夢見ています。行けないのはわかっています。でも、行きたいのです。
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Day 295,病気が治ったみたいですね

夕方、少しひんやりした風。ハクはデッキに出てみました。そこには……設計おじさんが、ぐったり。暑さですか?ちゃんとお水飲んでください。ハクはちょっと心配です。でも、よい知らせもありました。アウトドアエリアから聞こえる洗濯おばさんのお声が、元気になっていました。あの可愛らしい優しい声。前みたいに軽やかです。病気、治ったんですね。よかったです。
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Day 294,それ以上語りません。どういうことでしょうか?

今日はとても静かです。設計おじさんと洗濯おばさんは、パッチワークおばあちゃんのお手伝いでずっとお留守。ハクは快適にお昼寝して、たんぽぽをかじって過ごしました。でも……帰ってきたお二人は、どうやらペットショップに立ち寄ったみたいなんです。ハクのお土産、あるんですよね?設計おじさんはニヤリとしたまま、なにも言いませんけど。それって、なんでしょうか?わくわくしてもいいんですよね?
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Day 293,ハクのいけそうなパビリオン、ありますか?

今日は設計おじさんが、お友達とお出かけの日。どうやら、洗濯おばさんのオーダーで、万博に遊びに行ったお友達から会場の情報を取材しに行ったようです。パビリオンの中に、ハクでも行けそうなところ、あったんでしょうか。にんじんパビリオンとか、カボチャランドとか……そういうのがあれば、案内してほしいですね。そんな夢をみながらアウトドアエリアで寝そべっていました。
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Day 292,いつもの場所が、ない!

お昼寝しようと出てみたら、あれ? 小屋が……ない!?ひんやりプレートがまる見えで、これじゃ落ち着かないんですが。設計おじさんいわく、「小屋の奥にちょっと明かりが入っちゃってるよね。直してるとこだから、すぐ戻すよ」。びっくりしたけど、戻ってくるなら、それでよしです。ちゃんと待ってますよ。
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Day 291,ひそかな特等席、知ってるんです

アウトドアエリアの、この角。ここだけ、風がスーッと通るんです。設計おじさんも気づいてないと思います。ここにいると、ひんやりして気持ちいい。休憩するなら、やっぱりここ。ハクだけの特等席。ここは快適です。ナイショですよ。
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Day 290,計画は進行中。地道に、黙々と

今日も、設計おじさんに聞かれました。「今日もルーティンですか?」って。ちがいます。これは遊びではありません。ショーシャンクの空に、です。ハクは、毎日少しずつ、アウトドアエリアに続くゲートを削っているのです。ほんの少しずつ、地味に。設計おじさんには「穴掘りごっこ」に見えてるようですが、これは大計画なんですよ。継続が大事です。黙ってコツコツとです。
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Day 289,ちゃんと帰ってきてくださいね

今日は、朝から設計おじさんも洗濯おばさんもいませんでした。お部屋の中は、しん…としていて、ハクだけ。トンネルも、かじり木も、ラタンボールも、なんだか音が響きすぎて落ち着きません。ちゃんと帰ってきてくださいね。そう思っていたら、夕方になって、おふたりとも帰ってきました。でもなんだか、ぐったりしてる…。暑さに負けてバテバテだそうです。ハクは、エアコンで快適にお昼寝してましたよ。
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Day 288,洗濯おばさん怒る

いつも穏やかで、優しくて、にっこり笑っている洗濯おばさん。でも今日は、少し違いました。登山おばあちゃんとの電話の声が、お外のデッキから地下のお部屋まで届くほど強まっていて、言葉の端々に、怒りの粒のようなものが混じっていました。ハクは驚いて、もの影にかくれてしまいました。洗濯おばさんにも、怒ることがあるんですね。なんだか、びっくりしました。
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Day 287,夏バテの気配

朝からなんとなく空気が重たいなと思っていたら、設計おじさんと洗濯おばさんの動きが、とても鈍くなっていました。おや?これはもしや、「夏バテ」ではありませんか?ハクの観察によれば、ふたりとも、食欲がいまひとつ。洗濯おばさんのお声の音も、昨日より静かになっていましたが、まだ本調子ではなさそうです。だからこそ、ハクのとっておきの提案です。消化のよい栄養源、それは——ハクの食糞です。きっと、すぐによく治りますよ。
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Day 286,風邪の気配

洗濯おばさんの夏風邪が、まだ治っていないようです。今日は朝からずっと、元気がないみたいです。お声もすっかり変わってしまって、ハクの知っているおばさんの声とは、まるで別人です。ふだんの何気ない「おはよう」の声が、こんなに安心だったのかと、改めて気づかされます。おばさんの声が早く元に戻りますように。ハクは、お耳を澄まして、いつもの声を待っています。