夕方からしとしと降りはじめた雨の音に、ハクはデッキで耳を澄ませていました。しばらくすると、びしょ濡れの設計おじさんが小走りで帰宅し、慌ただしく洗濯物を取り込んでいます。人間の世界は、本当に天気の影響を受けることが多いのですね。ハクは、その姿を見ながらふと思いました。ハクには洗濯物がありません。だから、突然雨が降っても心配するものがないのです。お部屋もお外も、すべてそのままの形で守られています。遺伝子先生は「野生では濡れることが命にかかわるから、油断大敵」と言っていましたが、ここでは設計おじさんと洗濯おばさんが環境を整えてくれています。雨に追われる必要がないというのは、不思議な安心感です。「設計おじさん、風邪ひかないでくださいね」と、心の中でそっとつぶやきながら、ハクは地下のお部屋に戻りました。
DAY:410, 雨と洗濯物のない自由
