今日は光の入り方が明確に違います。空気が軽く、デッキに立つと外の明るさがそのまま身体に届いてきます。こういう日は、アウトドアエリアに出て、ゆっくりと動きたくなります。ハクの内側でも、その要求ははっきりしています。しかし、外へ出る時間は決まっています。このルールがある以上、衝動だけでは行動には移れません。そこでハクは、ひとつの可能性を考えます。設計おじさんの判断による例外です。いわゆる「気まぐれ」による前倒しです。
ただし、ここに矛盾があります。設計おじさんは、観察している限り、因果関係で動く個体です。体調、時間、手順、そのすべてに基づいて行動が決まります。つまり、理由のない変更はほとんど発生しません。遺伝子先生は、「安定した個体ほど、再現性のある行動を選ぶ」と教えていました。設計おじさんの動きは、この定義に合致しています。予測可能であり、逸脱が少ない。にもかかわらず、ハクはその中に「気まぐれ」を期待しています。
これは、実現可能性は高くありませんが、ゼロでもありません。人間には、例外的な判断が入り込む余地があるからです。デッキで待ちながら、ハクはその確率を考えます。光は十分、気温も悪くない。条件としては整っています。ただし、決定要因は設計おじさんの状態です。期待とは、現実に対するわずかな余白です。論理的に成立しなくても、完全には排除されない領域です。ハクはその余白を観察しながら、静かに待ちます。
