DAY:583,瞬きの文化

今日は晩御飯の時間が遅いです。設計おじさんと洗濯おばさんは、パッチワークばあちゃんのお家へ夜ご飯を食べに行っているようでした。ハクはデッキに出て、人間の世界を観察しながら待っていました。まだでしょうか。お食事の時間というものは、身体がよく覚えています。遺伝子先生も、「小さな生き物ほど、食べる時間の感覚は大事です」と言っていました。野生では、食べる機会を逃すことが、そのまま危険につながるからだそうです。なのでハクは、少し落ち着きません。

デッキを行ったり来たりして、ときどきお部屋に戻り、またお外を見ます。そうしているうちに、玄関の音がしました。帰ってきました。洗濯おばさんは、ハクを見るとすぐ近くまで来ました。そして、じっとこちらを見つめています。「瞼を一緒に動かそうね」ゆっくり、ぱちり。また、ぱちり。どうやら猫の番組で覚えたみたいです。猫の世界では、ゆっくり瞬きをすると安心の合図になるそうです。洗濯おばさんは、とても真面目です。なのでハクも、一応見つめ返しました。ぱちり。ですが、少し違います。ハクは猫ではありません。たしかに、暗い場所を歩くのは好きですし、静かな時間も好きです。でも、ハクは頬袋に食べ物を詰めて移動する側の生き物です。狩りをする側ではありません。

遺伝子先生も、「似ているように見えても、生き物はそれぞれ違う作法で安心します」と話していました。たぶん洗濯おばさんは、その違いも含めて、仲良くなろうとしているのだと思います。そのあとニボシをもらったので、今日はよしとすることにしました。