DAY:585,静かな午後の気配

今日は設計おじさんの動きがゆっくりです。お昼を過ぎたころから、ずっと横になっています。どうやら身体が重たいみたいです。外は晴れていますが、空気には少し湿った気配があります。雨が近いのでしょうか。人間は、天気が近づくと身体が重たくなることがあるようです。不思議です。ハクはデッキから、静かな部屋を観察していました。すると、ひとつ気づいたことがあります。今日は、大掃除の気配がありません。これは重要です。ハクは最近、少し警戒していました。お部屋の床材もいい感じに馴染み、食料の配置も整い、落ち着く匂いが完成しているからです。そろそろ大掃除がきそうだと感じていました。

遺伝子先生は、「小さな生き物にとって、匂いは地図のようなものです」と話していました。どこが安全で、どこに食べ物があって、どこで眠るか。ハクたちは、そういう情報を匂いで覚えています。なので、大掃除というものは、人間が思っている以上に大事件です。急に床が変わり、道が消え、昨日までの世界がなくなります。もちろん、清潔は大事です。でも、慣れた世界が続く安心も、とても大事なのです。今日は設計おじさんも静かですし、ハクは少し安心しました。お部屋へ戻り、頬袋にしまっていたブルーベリーをゆっくり食べます。大掃除はなさそうです。