とうとう今日は、大掃除の日でした。最近のわしゃわしゃ活動が、やはり原因だったみたいです。設計おじさんは、なにも知らない顔をしながら近づいてきます。そして、いつもの透明のカップをそっと差し出しました。ハクは知っています。これは、待合室行きの列車のようなものです。ですが、不思議なことに、毎回つい入ってしまいます。
遺伝子先生は、「小さな生き物は、狭く囲まれた場所に安心しやすい」と話していました。暗くて、身体が収まる空間を見ると、とりあえず確認したくなるそうです。たしかに透明ではありますが、このカップには妙な吸引力があります。なので今回も、まんまと誘導されました。カップの中から見える世界は、少し変です。設計おじさんが、お部屋の床材を入れ替えています。トンネルが消えていきます。備蓄していた食べ物が発見されています。「あ、ここにも隠してる」見つからないと思っていたのですが、案外すぐ見つかります。その間ハクは、待合室で待機です。もう一度この透明カップの列車に入れば、お部屋へ戻れる。そのことは知っています。ですが、まだその時ではないみたいです。
設計おじさんは、まだ床材を整えています。砂浴び場も位置が変わりました。給水器の周りも綺麗になっています。まだ大掃除中ですか? 設計おじさん。探検家としては、そろそろ現地確認を始めたいところです。ですが同時に、新しいお部屋に戻る瞬間は少し緊張します。匂いも空気も、昨日までとは違うからです。遺伝子先生は、「環境が変わった時、生き物はまず慎重に観察する」と言っていました。なので今日は、帰還後の初動調査が重要になります。まずはデッキまでの導線確認から始める予定です。
