設計おじさんは、近頃テレビの前から動きません。ストレンジャーシングスのシーズン5が始まったのだと、少し誇らしげに教えてくれました。画面の中では、シャーっと顔が開く化け物が現れます。ハクはデッキからその様子を観察しながら、未知の生き物はなぜ人を画面に縛りつけるのかを考えていました。洗濯おばさんも、時々似たようなことをすると言われていますが、設計おじさんは「それはプレデターだよ」と訂正します。正直なところ、ハクには違いがよく分かりません。遺伝子先生は「恐怖の正体を分類しようとするのは、人間が安心を得るための行動」と教えてくれました。名前をつけると、少し距離が取れるのだそうです。
そんな議論をよそに、キッチンからは洗濯おばさんのトマト料理の香りが漂ってきます。視覚が刺激され、次に嗅覚が刺激されると、自然と空腹になる。これも遺伝子先生の言う、生存に直結した反応です。ハクはテレビよりも、そちらの展開のほうが気になってきました。
