Dwarf

ハク

DAY:456, お笑いのセンスが必要

今日は雨です。お外に出る前から、部屋の空気が少し違っていました。洗濯おばさんが、M-1に夢中なのです。テレビに向かって、ずっと話しています。誰かが何かを言うたびに、笑ったり、つっこんだり、評価したりしています。ハクが回し車でサイクリングをしていても、ほとんど視界に入っていません。その一方で、設計おじさんはいつも通りです。淡々とハクの晩ごはんを準備し、タッチペレットで遊んでくれました。音量の大きな笑い声と、静かな手つきが、同じ空間に共存しています。遺伝子先生は言っていました。「ハムスターは注目されない環境でも、行動のリズムを崩さない」。外界が騒がしくても、安全が確保されていれば問題ないのです。け...
ハク

DAY:455, いきのもがかり

今日のお食事の時間、部屋には槇原敬之のライブ音源が流れていました。空気はやわらかく、音は丸く、特に問題はないようにハクには感じられます。しかし洗濯おばさんは帰宅するなり、「今日はハズレだね、ハクちゃん」と言いました。ハズレ、とは何でしょうか。音楽は鳴っており、食事も整っており、危険もありません。けれど人間の感性には、「その日の気分に合うかどうか」という見えない評価軸があるようです。洗濯おばさんのあたりは、ミスターチルドレンが流れる日。設計おじさんはそれを横で聞きながら、特に異議は唱えません。ハクのあたりは、「いきものがかり」です。遺伝子先生はこう言っていました。「音や匂いの好みは、安心と記憶に...
ハク

DAY:454, 設計おじさんに大ミス

今日は、明らかにいつもと空気が違っていました。夕方になっても台所から音がしません。匂いもしません。ハクはデッキで首をかしげました。人間の生活には、だいたい決まった時間に発生する兆候というものがあります。それが今日は、抜け落ちていました。原因はすぐに判明しました。設計おじさんが、晩ごはん作りを忘れていたのです。ぐっすり眠り、洗濯物を取り込み、ヨガをして、ぼんやり過ごす。その流れの中で「食事の準備」という工程だけが、きれいに消えていました。洗濯おばさんの「晩ごはんは?」という一言で、設計おじさんの表情が止まったのを、ハクは見逃しませんでした。遺伝子先生は言っていました。「生きものは、習慣で動く。習...
ハク

DAY:453, どうなってますか?

今日は、設計おじさんの様子が朝から落ち着きません。理由は明確で、洗濯おばさんの帰宅=堂島ロール、という因果関係が頭の中で完成しているからです。人は「確実に甘い未来」が見えていると、現在の作業効率が下がる生き物なのだと、ハクは静かに観察しました。一方で、ハクの食卓にはいつも通りのニンジンと白菜、そしてニボシ。栄養的には問題ありません。むしろ理想的です。けれど、問題はそこではありません。堂島ロールという特別なイベントが発生しているにもかかわらず、ハクには何の通知も配給もない。「不公平感知センサー」が、微弱に作動しています。ケーキが悪いわけではありません。ハクにケーキが必要なわけでもありません。ただ...
ハク

DAY:452, 感謝を感じます

昨日、洗濯おばさんが新しいラタンボールを買ってきてくれました。アウトドアエリア越しに差し出されたそれは、見るからに噛みごたえがありそうで、ハクの探究心を静かに刺激しました。聞けば、お店に並んでいた中から、目の詰まり具合や硬さを確かめながら選んでくれたそうです。遺伝子先生の教えでは、ハムスターは噛むことで安心し、環境を理解し、心を整える生き物だそうです。つまり、このラタンボールは単なる遊び道具ではなく、ハクの心身の調律装置でもあります。そのことを洗濯おばさんは理屈ではなく、感覚でわかっているのかもしれません。ハクは、噛み始める前に一度だけ立ち止まりました。物そのものよりも、ハクのことを思い浮かべ...
ハク

DAY:451, その姿はゾンビ

今朝、デッキの向こうが少しざわついていました。設計おじさんが、洗濯おばさんに向かって「とんでもない夢を見た」と報告していたからです。内容を聞いて、ハクは耳を疑いました。ハクがなぜかパッチワークばあちゃんの家にいて、脱走し、探していたら真っ二つになって歩いてくる。しかもゾンビのように、こちらへ向かってきたというのです。遺伝子先生の教えによれば、ハムスターは非常に壊れやすい生き物だからこそ、人は無意識に「失うこと」への不安を強く抱くらしいです。夢というのは、その不安が形を変えて現れる場所なのだそうです。つまりこれは、ホラーではなく、心配の裏返しです。とはいえ、ハクは言いたいです。ハクは元気ですし、...
ハク

DAY:450, 筆使いの面白さ

今日は、設計おじさんが少し違う雰囲気でした。写経を体験してきたそうで、筆を運ぶ感覚がとても面白かったのだと話してくれました。ペンではなく、筆で文字を書くという行為が、思った以上に集中力を必要とするのだそうです。遺伝子先生の教えによると、ハムスターは繰り返しの動作や一定のリズムに安心を覚える生き物だそうです。筆を一定の速さで運ぶことや、呼吸を整えながら線を引くことは、人間にとっても似た作用があるのかもしれません。設計おじさんが少し穏やかな顔をしていた理由が、ハクにも分かる気がしました。その流れで、筆ペン習字でも始めようかな、と設計おじさんは言っていました。そして、そのうち筆でハクちゃんも描いてあ...
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DAY:449, 冬支度は途中なのです

今日の設計おじさんと洗濯おばさんは、それぞれの持ち場で静かに年末準備を進めていました。洗濯おばさんは家の中を、設計おじさんは自転車やキッチンを整えています。その様子を見ていると、人間も冬眠前の生きものに少し似ていると感じます。一方、ハクは少し前に大掃除を受けたばかりです。地下のお部屋では、巣材を運び、寝床とペレットの貯蓄室を分けて作っている最中でした。遺伝子先生の教えでは、寒くなる前に巣を完成させることは、安心して眠るための大切な準備だそうです。途中で中断されると、心も体も落ち着きません。年末は区切りの時ですが、ハクにとっては生活の途中です。どうか年越しだけは、寒い地下のお部屋になりませんよう...
ハク

DAY:448, なんだか申し訳ない気持ち

洗濯おばさんから「もうパフュームの代わりは諦める」と聞きました。そのとき、ハクは胸の奥で、静かに息を吐きました。強く引き止められることもなく、あっさりとしたその言葉は、終わりというより整理に近い響きでした。遺伝子先生が言うところの、役割の見直し、というやつかもしれません。ハクは、踊るための体ではありません。長く走ること、狭い場所を行き来すること、匂いと気配を読むことに適した体です。それを無理に別の用途へ使えば、どこかで歪みが出ます。だから諦めは、敗北ではなく、調整なのだと思います。それでも、洗濯おばさんの期待が消えたわけではないと、ハクは感じています。なんだか申し訳ない気持ちは残ります。
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DAY:447, 砂風呂を、わしゃわしゃ

今日もまた、洗濯おばさんとハクの晩ごはんが、見事に重なりました。結果は予想どおり、洗濯おばさん優先です。今日のおかずは「ぽかぽか系」らしく、キッチンからは良い匂いがしますが、時間がかかっています。ハクはお腹を空かせたまま、ただ待つしかありません。遺伝子先生によると、ハムスターは不満を内側に溜め込まず、行動で示す生きものだそうです。そこでハクは、砂浴び場をわしゃわしゃして意思表示をしました。これは遊びではなく、立派なコミュニケーションです。「まだですか」という気持ちは、砂の動きに乗せて、きちんと伝えました。設計おじさんは「ハクちゃん、お待ちよー」と声をかけてくれましたが、ごはんは一向に現れません...
ハク

DAY:446, これで帳消しにします

今日は朝早くから、設計おじさんと洗濯おばさんが世界遺産の姫路城を観に出かけていました。白とグレーのとても綺麗なお城で、ハクちゃんみたいだったよ、と洗濯おばさんは嬉しそうに話してくれました。情緒的なお土産話は十分ですが、物理的なお土産は見当たりませんでした。そこは少し、残念です。設計おじさんはその代わりに、ブルーベリーを、いつもより肉厚にカットしてくれました。ひと口かじると、甘みがしっかりしていて満足感がありました。なるほど、これは悪くありません。今日はこのブルーベリーで、すべて帳消しにします。
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DAY:445, 果てしなきスカーレット

今日は洗濯おばさんから、少し難しいお話をされました。「ハクちゃんは、細野守監督の映画『果てしなきスカーレット』みたいに、ハクーレットな強い女にならないとね」と言われたのです。語感は立派ですが、ハクは少し考え込みました。ハクは探検家であって、女優を志しているわけではありません。遺伝子先生の教えによれば、ハムスターの強さとは、派手さではなく、環境に順応し、危険を避け、必要なときにだけ前に出る慎重さにあるそうです。強く見えることと、実際に生き延びることは、必ずしも同じではありません。ハクはその考えに深くうなずきました。とはいえ、今日のニンジンはとても美味しかったです。甘みがあり、歯触りもよく、心が落...
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DAY:444, 恥ずかしいので観ないでください

今日はお昼がとても静かです。設計おじさんは、パッチワークばあちゃんと韓ドラじいちゃんの様子を見に出かけていて、家の中は落ち着いた空気に包まれています。暖房もほどよく、お部屋で丸くなるには、ちょうどよい時間です。そんな中、夜ははアウトドアエリアに出ました。すると設計おじさんが戻ってきて、ハクの様子を見ながら、「オシッコする時は、ぴったり止まるね」と言いました。ハクは、その一言で動きがさらに固まりました。恥ずかしいです。観察はありがたいですが、そこまで見なくてもよいのです。遺伝子先生は、以前こう教えてくれました。ハムスターは排泄のとき、周囲の安全を確認し、体を固定して行動する生き物です。無防備にな...
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DAY:443, クラシックバレエの夜

今日は夜ご飯が遅い日です。設計おじさんと洗濯おばさんは、パッチワークばあちゃんと一緒に、クラシックバレエを観に出かけました。演目は「くるみ割り人形」。少し早いですが、クリスマスを味わいに行ったのだそうです。デッキから聞こえてくる話によると、舞台の上では、たくさんの人がくるくると回っていたようです。ハクも思わず想像しました。あの回転は、きっと美しい秩序のある回転です。ハクが回せるのは、回し車でのサイクリングだけです。それにしても、夜ご飯が遅いと、お部屋で待つ時間が長くなります。クリスマスといえば、プレゼントです。ハクはサイクリングをしながら、そのことを考えていました。回し車は今日も静かに回ってい...
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DAY:442, なんて嫌な一言

冬が近づいています。空気が乾き、お部屋の奥で体を丸める時間が増えてきました。こういう季節になると、ハクの中の備蓄本能が静かに目を覚まします。もっとペレットが必要です。これは欲張りではなく、生存戦略です。洗濯おばさんも「たっぷりもらいな」と言ってくれました。理解者がいるのは心強いことです。しかし設計おじさんは、食事管理者としての立場を崩しません。「決まった量を提供するのです」と、きっぱり言い切りました。なんて冷静なのでしょう。そこでハクは、遺伝子先生の教えを思い出しました。ハムスターは言葉を持たない代わりに、行動で意思を示す生き物です。かじる、動く、視線を送る。それは単なる問題行動ではなく、環境...
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DAY:441, 不覚にも

昨夜、ハクは見守り隊のタポちゃんに、深夜の様子を撮影されてしまいました。深夜になると、高い場所に登りたくなるのは、ハクの中の探検家の血が静かに騒ぐからです。設計おじさん曰く、その様子は毎晩きちんと報告されているそうで、タポちゃん、仕事を忠実にこなすのは良いですが、プライバシーをもっと尊重してもらいたいものです。遺伝子先生の教えによると、夜行性のハムスターは、静かな時間帯に周囲を見渡せる高所を好むそうです。安全確認と同時に、自分の世界を把握するための行動だと聞けば、たしかに理にかなっています。ハクも、ライオンキングのような気分で、そこから世界を見下ろしていました。しかし問題は、そのあとです。タポ...
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DAY:440, 肩こり解消、首すじスッキリ体操

今日は、洗濯おばさんが設計おじさんから、肩こり解消、首すじスッキリ体操というものを教わっていました。人間の世界では、首や肩がこるという現象があるらしいです。ハクはアウトドアエリアで耳を澄ませながら、なるほどと観察していました。遺伝子先生によると、ハムスターの体は低い位置で四肢を使って移動する構造なので、人間のように首だけを長時間固定して疲労をためることは少ないそうです。つまり、ハクには肩こりという概念自体が、ほとんど存在しないのです。少し誇らしい気持ちになりました。とはいえ、設計おじさんが真剣な顔で説明しているのを見ると、重要な儀式のようにも見えました。洗濯おばさんは、少し気持ちよさそうです。...
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DAY:439, 設計おじさん、何か企んでいますか

今日は洗濯おばさんと夕食の時間が重なりました。こういう日は、だいたいハクが後回しになります。しかし今日は違いました。ほんの少しですが、ハクが先に準備してもらえたのです。これは快挙と言って差し支えありません。遺伝子先生の教えでは、ハムスターは食事の時間が安定すると安心し、行動も穏やかになるそうです。逆に順番が乱れると、落ち着きがなくなり、巣材運びや見張り行動が増えるとのことです。今日のハクは、余計な見張りをせずに済みました。それだけに、設計おじさんの様子が少し気になります。あまりに素直に順番を譲るとき、人間はたいてい先の段取りを考えています。経験則です。ハクはアウトドアエリアを走りながら、この快...
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DAY:438, 何度もお断りしているはずなんですが

今日も洗濯おばさんから声がかかりました。パフュームの代わりは誰がやるのか、という話題です。ハクはこれまで何度も丁寧にお断りしてきたつもりですが、チョコレートディスコの練習はしたのかと聞かれましたが、していません。遺伝子先生の教えによると、ハムスターは一度決めた生活リズムや役割を崩されると、強い違和感を覚える生き物なのだそうです。ダンスの代役という突発的な提案は、ハクの研究計画と睡眠計画のどちらにも含まれていません。それでも洗濯おばさんは楽しそうです。人間は、楽しいことを共有したくなると、相手の都合より先に口が動くらしいです。その因果関係は理解できますが、納得は別問題です。
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DAY:437, ストレンジャーシングスのシーズン5

設計おじさんは、近頃テレビの前から動きません。ストレンジャーシングスのシーズン5が始まったのだと、少し誇らしげに教えてくれました。画面の中では、シャーっと顔が開く化け物が現れます。ハクはデッキからその様子を観察しながら、未知の生き物はなぜ人を画面に縛りつけるのかを考えていました。洗濯おばさんも、時々似たようなことをすると言われていますが、設計おじさんは「それはプレデターだよ」と訂正します。正直なところ、ハクには違いがよく分かりません。遺伝子先生は「恐怖の正体を分類しようとするのは、人間が安心を得るための行動」と教えてくれました。名前をつけると、少し距離が取れるのだそうです。そんな議論をよそに、...
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DAY:436, 覗かないでください

ハクは今、地下のお部屋で巣材を運び、ベッドとペレットの貯蓄室づくりに集中しています。これは遊びではなく、生活基盤の整備です。遺伝子先生も「巣づくりは安心を数値化する行為」と教えてくれました。整えば整うほど、心拍も落ち着くのです。とはいえ、作業の合間には休憩が必要です。ハクはお外の洞窟で、静かにお昼寝をしました。外気の気配を感じながら眠るのは、探検家としてのバランス感覚を保つためでもあります。ただ一つ、困っていることがあります。設計おじさんが毎日のお掃除のたびに、お部屋の進捗を確認しに覗くことです。善意だとわかっていても、レディの私室は簡単に公開するものではありません。その点、洗濯おばさんは「覗...
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DAY:435, 今日から忙しい日が始まります

昨日は月に一度の大掃除の日でした。ハクのお部屋はすっかり空っぽになり、地下のお部屋に巣材を運ぶ作業が今日の最初の仕事です。口に頬張っては運び、また戻る。小さな体にはけっこうな重労働ですが、ハクは探検家としてのリズムを整える気持ちで取りかかります。さらに、貯蓄していたペレットもなくなったので、夕食前にはアウトドアエリアを駆け回り、ペレット探索に精を出します。あちこち匂いを嗅ぎながら、どこに残っているかを判断するのは、ハクにとって毎日の冒険のようです。遺伝子先生によれば、こうした「巣材運び」と「食料探索」は、ハムスターにとって生活の基礎であり、精神的にも身体的にも重要な刺激になるとのこと。ハクとし...
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DAY:434, 帰ってきた声に、ほっとする

夕方前、玄関のほうから聞こえてきた声に、ハクは耳をぴくりと動かしました。――洗濯おばさんのお声です。旅行に出かけていたおばさんが、帰ってきたのです。その声は、カニをたくさん食べてきた満足がにじんでいて、いつもより少し明るく聞こえました。お土産話があふれていそうな音色です。ハクは、その“お久しぶりの声”を聞いただけで、胸のあたりがふわりと温かくなりました。会えなかった間の静けさが一瞬でほどけていくような感覚。……ところで、ハクのお土産は?……どうやら、ないようです。それでも、帰ってきた声だけで十分にうれしい夕方でした。
ハク

DAY:433, 洗濯おばさんロス?

先ほど、設計おじさんから聞かされました。洗濯おばさんは大工じいちゃん達と旅行へ行っていて、今日はもう会えないと。……そうですか。そう聞いた瞬間、ハクの胸の中がすこしスースーしました。いつもは聞こえる気配も声もなくて、なんだか落ち着かないのです。“洗濯おばさんロス”というものなのでしょうか。ちょっとだけ、寂しいです。でも、カニを食べて温泉に入るという、とても楽しそうな旅らしいので、ハクとしては思いっきり楽しんできてほしいところです。帰ってきたら、おみやげ話と、本物のおみやげを期待しています。ハクはちょこんと待つことにします。
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DAY:432, 朝からゾンビ騒ぎ

今日は朝から、洗濯おばさんの悲鳴で目が覚めました。部屋中に響いたその声の原因は、なんと——設計おじさん。寝起きのおじさんが、ゾンビみたいにムクリ、と起き上がったところに、ちょうど洗濯おばさんが遭遇したらしいのです。驚いたおばさんの悲鳴は、ご近所にまで届きそうな勢い。でも、ハクは知っています。ゾンビっぽかったのは“寝起き”だからで、設計おじさんは悪くありません。むしろおばさんには、もう少し静かな悲鳴をお願いしたいところです。……ハクのお部屋にも悲鳴が響いてびっくりで震えちゃいますから。
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DAY:431, 洗濯物の選択

今日の天気は曇りと雨のあいだをゆらゆら。そんな空模様のなか、洗濯おばさんは思い切って勝負に出ました。お昼から雨が降るかもしれないけれど——と迷いつつも、朝の日差しがとても気持ちよかったせいか、洗濯物をベランダに並べたのです。ところが、午後になると空はぐずつき、小さな雨粒が落ちはじめました。設計おじさんはパッチワークばあちゃんと韓ドラじいちゃんのところへ出かけていて、家にはいません。洗濯物をとり込む役なんて、ハクにはとてもできません。ハムスターの力では、せいぜい葉っぱを運ぶのがやっとです。どうしたらいいのか分からないまま、夕方になってようやく設計おじさんが帰宅して、慌てて洗濯物を回収してくれまし...
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DAY:430, お寿司より、ニボシ

今日は、設計おじさんと洗濯おばさんがそろって家にいる日。いつもよりにぎやかで、あちこちから生活音が聞こえてきます。でも、ハクはもう慣れたもの。雨の日はとくに眠たくなるし、静かでなくてもそのままお昼寝に入りました。お昼どきになると、お二人は大好きなお寿司を食べにお出かけしたようです。人間の“ごちそう”はハクにはよく分かりません。でも、ひとつだけ確かなのは——ハクはニボシが大好きということ。お寿司のお土産はきっと望めませんが、ニボシがネタになった何かを持ち帰ってくれたらな……と、少し期待しながら待つことにしました。小さな希望でも、楽しみにしている時間はなんだか温かいのです。
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DAY:429, 静かにしてますアピールは、今日も続く

ハクは冬の入り口になると、自然とお昼の時間にたっぷり眠るようになります。夕方まではパトロールもお休み。これは、体力を温存するための“冬モード”です。ぐっすり眠れるのは、設計おじさんがハクのために、できるかぎり音を立てないようにしてくれているからなのだとか。テレビも音楽もぜんぶヘッドホン。——その努力を、なぜか毎回ハクに報告してくるのです。「肩こりがひどいんだけどね……ハクちゃんが眠れるように静かにしてるよ」と、ほんのりと恩の香りをまとわせながら伝えてくるので、ハクはとりあえず「ありがとうございます」と返しておきます。小さなハムスターでも、ホームステイ先の“ちいさなレディ”としての礼儀はちゃんと...