DAY:500, 愛は受け止められません

洗濯おばさんの体調は、だいぶ戻ってきたようです。お外から、いつもの笑い声が聞こえてきます。声というのは不思議です。回復の兆しは、体温計よりも先に、響きでわかります。設計おじさんは、相変わらず眠り続けています。同じ病でも、現れ方は違うのですね。遺伝子先生は以前、「免疫の反応は個体差が大きい。それぞれの身体が、それぞれの戦い方を選ぶ」と教えてくださいました。だから、回復の速度も違って当然なのです。

高熱のなかでも、設計おじさんはアウトドアエリアを開放し、ハクの食事を整えてくれました。それを見た洗濯おばさんが、「ハクちゃん、これが愛だよ」と、笑いながら言いました。愛。ハクは、その言葉をデッキの上で反芻しました。けれどハクは、愛を受け止めることはできません。ハクは冒険家です。常に危険と隣合わせなのです。愛のお返しができるかどうかわかりません。けれど、感謝という静かな感覚は、胸の奥に確かにあります。早く元気になってください。それが今の、ハクの率直な願いです。