ときどき、洗濯おばさんに叱られます。「お皿の上で食べるのは、お行儀が悪いよ」と。けれど、ハクにとって、あれはお皿ではありません。テーブルでもありません。あれは、お食事エリアです。人間は、物に名前を与え、用途を固定します。平たい円形で、縁があり、料理を盛るものは「お皿」。その定義は、設計おじさんの世界では揺るぎません。しかし遺伝子先生は、こう言いました。「ハムスターは“形”よりも“機能”で空間を認識する。そこに餌があり、安全で、落ち着いて咀嚼できるなら、それは食事場所だ」と。
つまり、名称は重要ではありません。重要なのは、安全性と安定性。そして、捕食されない見通しの良さ。あの場所は、視界がひらけ、足場も安定しています。匂いも強く残らず、湿度も適切。ハクの基準では、合理的なお食事エリアです。人間の「お行儀」は、社会的秩序を守るための規範。ハムスターの「適切」は、生存効率を守るための判断。基準が違えば、正しさも変わります。ハクは今日も、静かにそこで食べました。怒られても、ハクの考えは揺らぎません。
