今日は朝から、設計おじさんの「オーッ」という声が響きました。デッキでお外を観察していたハクは、思わずひげがぴくりと動きました。どうやら、欲しかった洋服の価格が期間限定で下がっていたようです。設計おじさんは、すぐにその話を洗濯おばさんに報告しに行きました。「これは、試着詐欺の汚名挽回では?」そんな言葉も聞こえてきます。どうやら以前、洗濯おばさんが試着だけして買わずに帰ってきたことを、設計おじさんは少し冗談まじりに「試着詐欺」と呼んでいるようです。
けれど、ハクにはわかります。洗濯おばさんは、きっと試着詐欺ではありません。遺伝子先生の教えでは、動物は群れや仲間の中で信頼関係を作りながら生活すると言います。信頼は、一度の出来事では決まりません。毎日の行動。積み重ねた時間。相手への思いやり。それらが少しずつ重なって、関係の形ができていくのだそうです。ハクから見る洗濯おばさんは、いつも優しくて、丁寧に暮らしている人です。だから、試着詐欺という言葉は似合いません。
むしろ、設計おじさんが嬉しそうに報告している様子を見ると、二人でその出来事を楽しんでいるようにも見えました。人間の世界では、こういう小さな出来事も会話の種になるのですね。ハクはデッキで静かにその様子を観察しながら、かじり木をゆっくりかじりました。今日の朝は、少しにぎやかな朝でした。
